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「思うように動かない身体」が再び前へ進み出すために必要な視点とは?
脳卒中後のリハビリでは「運動」という言葉が非常に広く使われますが、実際には人によって意識すべきポイントも、改善のために必要なアプローチもまったく異なります。同じ麻痺でも、力が入りづらい理由、関節がこわばる理由、疲れやすさの理由はそれぞれ違い、画一的な運動だけでは十分な改善につながりにくいことが少なくありません。
T-performanceでは、脳卒中後の身体を「脳の再学習」「身体の使い方」「自律神経の安定性」という三本柱で捉え、ただ動かすだけではない、再現性のある動作を取り戻すためのサポートを大切にしています。
ここでは、脳卒中後の運動リハビリを「脳」「身体」「実践方法」という3つの視点から深く掘り下げ、患者さんとご家族が理解しやすいよう具体的な例えや実践方法も交えて解説いたします。
Contents
🔵 脳卒中後の「動かしにくさ」はどこで起きているのか
脳卒中後、多くの方が最初に感じるのが「手足が言うことを聞かない」という感覚です。思った場所に足が運ばれない、手は動くのに細かな操作ができない、力を入れようとしても入りすぎてしまう——こうした状態は、決して筋肉そのものが壊れているわけではありません。
例えるなら、「ケーブルの一部が断線した電気製品」のような状態です。
電気製品そのもの(筋肉)は壊れていなくても、スイッチからの信号が弱く届くために、本来の力が出しきれない。その信号の弱さを補おうとして、周りの別の筋肉が無意識のうちに動こうとする。こうした“代わりの動き=代償運動”が積み重なるほど、動き全体が非効率になり、疲労感が強くなります。
「歩いているだけで息が切れる」
「まっすぐ立っているつもりがなぜか傾く」
これらも、筋力不足ではなく「脳からの信号の質」が変化しているために起こります。
そのため脳卒中後のリハビリでは、
“動かし方そのものを学び直す”
という視点が欠かせません。
単純に筋力トレーニングを増やすだけでは改善しにくい理由がここにあります。
🔵 脳の再学習(ニューロリハビリ)の基礎を整える

脳はダメージを受けても再び回路を作り直す力を持っています。これを「脳の可塑性」と呼びます。しかし、その可塑性は“ただ動けば良い”というものではありません。脳が学習しやすい条件が整っているかどうかで、回復の速度は驚くほど変わります。
特に重要なのは以下の3つです。
▶︎ ①「目的を理解した上で動かす」こと
人は、意味のある動きに対して脳が優先的に反応するという特性があります。
たとえば、「足を前に出す」という動作ひとつを取っても
「体重をどちらに乗せるべきか」
「立脚側の股関節をどう使うべきか」
といった“目的と意味”を理解して動くことで、脳の活動は何倍にも高まります。
言われた通りにただ動くのと、「なぜこの動きをするのか」を理解して行うのとでは、脳への刺激の入り方がまったく異なります。
T-performanceでは、動きの意味をわかりやすく説明し、患者さん自身が「この動きはこういう目的がある」と理解しながら取り組めるようサポートしています。
▶︎ ②「成功体験を積み重ねる」こと
脳は「できた」という成功の感覚を非常に強く記憶します。
逆に、できない動作を繰り返しすぎると脳は疲労し、誤った動作パターンを学習してしまいます。「できる方法で成功を積み重ねていくこと」が、回復のスピードを大きく左右します。
T-performanceでは、「その人の脳がうまく働きやすい条件」を作り、本人が再現できるレベルの成功を積み上げることを重視しています。
▶︎ ③「感覚入力を整えること」
脳卒中後は、手足の位置が分かりにくくなる、重心がどこにあるか曖昧になるなど、「体の地図」がぼやけた状態になりやすいです。
この状態では、正確な動作の修正が難しく、無駄な力が入り続けたり、倒れそうな感覚が抜けなかったりします。
感覚が整うと、迷いなく動ける“道しるべ”ができ、脳の再学習がいっきに加速します。
🔵 “疲れやすさ”と“動きにくさ”の正体:姿勢と体幹の問題
脳卒中後のリハビリでよく見られる悩みの一つが「すぐ疲れてしまう」というものです。これは単なる体力不足ではありません。多くの場合、体幹の安定性が低下し、姿勢制御が難しくなっていることが原因です。
姿勢を例えるなら、「基礎が傾いた家」に住んでいるような状態です。
家の基礎(土台)が不安定であれば、そこにどんなに立派な柱や壁(腕や脚)があっても安定しません。それと同じように、体幹が安定しないまま手足を動かし続けると、姿勢を保つための余計な筋肉が常に働き続け、疲労が蓄積します。
脳卒中後は歩行時にも姿勢のずれが生じやすく、体幹が少し傾くだけで股関節や膝への負担が大きくなり、歩幅が小さくなったり速度が落ちたりします。
力が入りすぎてしまうのは「頑張っている」からではなく、「姿勢制御の回路がうまく働かない状態を補うために、無意識で体が耐えている」ためです。
T-performanceのリハビリでは、まず「使いすぎているところの力を抜き」、そのあとで「働かせたい筋肉を適切に起動する」という順番で整えることで、効率の良い動作を取り戻すサポートをしています。
🔵 脳卒中リハビリに必要な“正しい負荷”の考え方
リハビリでは「負荷量の設定」が非常に重要です。負荷が強すぎても弱すぎても、脳の再学習は起こりにくくなります。
わずかな負荷の違いで、翌日の疲れ方や動作の質が変わる方は少なくありません。
負荷が強すぎると、動きが硬くなり呼吸も乱れ、無意識の力みが強まります。これは脳卒中後の方にとって特に危険で、代償運動が固定されてしまう可能性があります。
逆に負荷が弱すぎる場合は、脳が“学習する価値がある刺激”として認識できず、回復のチャンスを逃すことになります。「できた」という実感も生まれにくいため、意欲の低下を招くこともあります。
そのため、中長期的に見ても“ちょうど頑張れる負荷=最適負荷”の設定が非常に重要です。
T-performanceでは、その日の体調、疲労度、筋出力、体幹の働き、麻痺側の反応などを丁寧に評価し、もっとも学習効果が出る負荷に設定します。
🔵 自宅でできる実践:脳の再学習を促す運動

脳卒中後の改善は、「生活の中での小さな積み重ね」が何より大切です。ここでは、ご自宅で無理なく取り組め、なおかつ脳の再学習(ニューロリハビリ)に直結する運動を3つ紹介します。どれも難しい動きではありませんが、脳に“正しい情報”を送り返すための非常に重要な土台づくりになります。
運動が苦手な方や、動きに不安のある方でも取り組めるよう、実施時の注意点やよく起きやすい癖も併せて解説します。
▶︎ ① 座位での重心リセット(荷重感覚の正常化)
【 実施方法 】
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椅子に浅く座り、両足を肩幅に開きます。
足の裏全体が床にしっかり接しているか確認してください。 -
まずは静止したまま「どちら側に体が寄っているか」を感じ取ります。
触らなくても分かる人もいれば、鏡を見ると気づく人もいます。 -
右に少しだけ体を傾け、そこからゆっくり中央へ戻します。
次に左へ傾け、また中央へ戻ります。 -
この「左右へ移動 → 中心へ戻す」をゆっくり繰り返します。
【 ポイント 】
脳卒中後の多くの方は、「傾いている側がまっすぐに感じる」状態になっています。
これは脳が受け取る情報が乱れ、“自分の身体の位置の地図”がぼやけているためです。
重心リセットでは、「傾いた状態」と「中央の位置」を何度も往復することで、脳が少しずつ位置情報を修正していきます。
【 よくある癖 】
・傾ける方向に力みすぎて肩が上がる
・中心に戻るときに勢いで戻してしまう
・足の裏が浮いてしまう
どれも脳が位置をうまく把握できていないサインで、ゆっくり丁寧に行うことで改善しやすくなります。
【 この運動が必要な人の例 】
・座っていると身体が片側にずれやすい
・歩行中に片足だけ重く感じる
・立ち座りでバランスが崩れやすい
こうした方は、脳が“中心”を見失いやすい状態のため、座位でのリセットが大きな助けになります。
▶︎ ② 体幹のスイッチを入れる呼吸(姿勢制御 × 自律神経の安定)
【 実施方法 】
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椅子に座るか、仰向けになります。
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手を「お腹」「脇腹」「腰(背中側)」のどこかに添え、
“横にも後ろにも空気を入れるイメージ”で鼻からゆっくり吸います。 -
吐くときは、口をすぼめ、細く長く吐きます。
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これを1分〜2分ゆっくり繰り返します。
【 ポイント 】
脳卒中後の方は、姿勢が不安定になることで「胸だけで呼吸する(胸式呼吸)」になりやすく、体幹の筋肉が十分働かなくなることがあります。
呼吸を整えることで、
・体幹の反応速度が上がる
・力みが減る
・姿勢が保ちやすくなる
といった効果が期待できます。
【 例え話 】
体幹は家で言えば「土台」です。
土台が柔らかく温まっていると建物は揺れにくくなりますが、冷えて硬いとすぐに傾きます。
呼吸は、その「土台に火を入れる作業」。
大きく動かさずとも、確実に身体の反応を変える力があります。
【 よくある癖 】
・肩が上がってしまう
・息を吸いすぎて苦しくなる
・吐くときにお腹が膨らむ
苦しくならない程度の“7割の力”で十分です。
▶︎ ③ 立位での「踏み出す準備」(歩行改善のカギ)
【 実施方法 】
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壁や椅子の背を軽く触って安全を確保します。
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足を前後に軽く開きます(前足:後足=7:3の距離)。
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後ろの足でゆっくり地面を押します。
このとき前に体を倒す必要はありません。 -
後ろ足の「ふくらはぎ → 太もも → お尻」が順番に働く感覚が出ればOKです。
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左右を入れ替えて5回ずつ行います。
【 ポイント 】
歩き出しが不安定な人の多くは、「前に出す足」に集中しすぎています。
しかし本来、歩きの推進力は“後ろ足が地面を押す力”で生まれます。
脳卒中後は、この押す感覚が弱くなったり消えたりするため、最初の一歩が小さくなり、バランスを崩しやすくなります。
後ろ足でしっかり押す感覚が戻ると、
・歩幅が自然に広がる
・ふらつきが減る
・恐怖感が和らぐ
といった変化が生まれます。
【 よくある癖 】
・押した瞬間に身体が前へ倒れる
・指だけで押して足裏が浮いてしまう
・押す方向が外側に逃げる
これらは「正しいラインで力が伝わっていない」サイン。
強く押す必要はなく、まっすぐ地面を押す感覚を大切にします。
T-performanceのホームエクササイズの特徴は、
「その時だけうまく見える運動」ではなく“脳の回路そのものを整える運動”であるという点です。
だからこそ、激しい運動や複雑な動作は必要ありません。
脳が正しい情報を受け取り直し、必要な筋肉が働ける環境をつくることが、長期的な改善につながります。
🔵 T-performanceが大切にしている“運動リハビリの本質”
脳卒中リハビリの本質は、「できる動作を増やす」ことではありません。
“生活の中で再現できる動作を取り戻すこと”
これこそが、T-performanceが最も大切にしている考え方です。
・家の中で安全に移動できる
・外出する不安が減る
・趣味を再開できる
・家族との時間が自然と増える
これらはすべて、動作が「再現できるレベル」で身についてはじめて実現します。
脳の特性、身体の構造、生活リズム、自律神経の状態、疲れやすさ、本人の目標。
それらを総合的に見極めた上で、一人ひとりに合った道のりを設計することが、T-performanceの役割です。
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📍 店舗情報
T-performance(ティーパフォーマンス)
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