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Contents
🔵 はじめに
回復判断は「知っているか」ではなく「使えるか」で差がつく
ここまで⑥・⑦で、回復できる人が使っている判断基準と、競技特性による回復判断の使い分けを整理してきました。
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動いたあとに戻れるか
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緊張が抜ける反応があるか
-
「できる」と「やる」を切り分けられているか
これらは、回復判断の“軸”として非常に重要です。
しかし現場では、こうした基準を理解しているのに使えない人が少なくありません。
ここで、もう一段階踏み込む必要があります。
それは、回復判断は、競技レベルや立場によって「実行の難易度」が大きく変わるという事実です。
学生アスリート、社会人アスリート、トップレベルの選手。
レギュラー、控え、復帰直後、主力選手。
これらの立場は、身体の構造が違うわけでも、回復の原理が違うわけでもありません。
違うのは、
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その判断によって失う可能性があるもの
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判断を誤ったときに背負うリスク
-
判断の瞬間にかかる心理的圧力
です。
たとえば、同じ「今日は抑えたほうがいい」という判断でも、
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学生にとっては「成長の機会を逃す不安」
-
社会人にとっては「限られた練習時間を無駄にする焦り」
-
主力選手にとっては「チームへの影響」
-
控え選手にとっては「評価の機会を失う恐れ」
が、同時にのしかかります。
この心理的圧力を無視したまま「正しい判断をしましょう」と伝えても、回復判断はほとんど機能しません。
なぜなら、回復判断は知識の問題ではなく、実行の問題だからです。
T-performanceの現場でも、回復が停滞しているケースを丁寧に見ていくと、
判断基準が間違っているのではなく、判断基準を使えない状況に置かれているという構造が非常に多く見られます。
つまり、回復判断は「身体の問題」ではなく、立場・役割・環境との関係性の中で成立するものです。
この⑧では、回復判断を「理論」として理解する段階から一歩進み、
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その立場では、どこで判断が歪みやすいのか
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回復できている人は、どう判断を組み替えているのか
-
同じ基準を、どう“使える形”に落としているのか
を、競技レベル・立場別に具体的に整理していきます。
回復できるかどうかは、意志の強さや根性で決まるものではありません。
その立場に合った判断設計ができているかどうか。ここに、明確な差が生まれます。
次章からは、学生アスリート、社会人アスリート、そしてチーム内での役割別に、回復判断がどう変わるのかを具体的に見ていきます。
この記事は回復判断シリーズ⑧です。
⑦を踏まえ、⑧では学生・社会人・主力・控えなど立場別の判断の難しさを扱います。
→ 前の記事
⑦ 競技特性別|回復判断の使い分け
→ 次の記事
⑨ 回復判断を「一人で抱えない」ために
🔵 学生アスリートの場合
―「成長」と「無理」の境界線が最も曖昧な立場―
学生アスリートは、回復判断が最も難しく、かつ将来に大きな影響を残しやすい立場です。
その理由は、技術や体力の問題ではありません。
判断の前提となる価値観そのものが、次のように形成されやすいからです。
-
練習量が多いほど成長する
-
休むこと=遅れること
-
ついていけないのは努力不足
この構図の中では、回復という概念が「サボり」や「甘さ」と結びつきやすくなります。
▶︎ 起きやすい判断ミス|「比較」が基準になる
学生期に最も多いのは、回復判断が身体の内側ではなく、環境との比較で行われることです。
「まだ動けるか」ではなく、
「周りはやっているか」
「自分だけ落ちていないか」
が判断軸になってしまう。
この状態では、身体の反応が出ていても、それを“無視する判断”が正解だと感じてしまいます。
結果として、
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疲労が抜けないまま次の練習へ進む
-
重さや違和感を「慣れ」で処理する
-
調子の波が大きくなっても修正できない
という流れに入りやすくなります。
▶︎ 回復できる学生がしている判断|「配分」という考え方
一方で、回復できている学生アスリートは、「やる/やらない」の二択で考えていません。
彼らが無意識にやっているのは、回復を前提にした負荷の配分です。
今日は全部を100%でやる日なのか。
それとも、一部を100%にする日なのか。
あるいは、精度だけを上げる日なのか。
この切り分けができることで、
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出力を上げる日と抑える日が混在する
-
回復しきらない状態での“全力”を避けられる
-
波があっても、長期的な積み上げが止まらない
という流れが作られます。
ここで重要なのは、「休む」ことを目的にしていないという点です。
学生期に本当に身につけるべきなのは、限界まで追い込む力ではありません。
戻れる範囲で積み上げる感覚
これが、上のカテゴリーに上がったとき、最も大きな差になります。
🔵 ② 社会人アスリートの場合
―「競技以外の疲労」を含めて判断できるか―
社会人アスリートの回復判断を難しくしているのは、競技そのものよりも、競技以外の負荷です。
仕事による緊張。
不規則な生活リズム。
睡眠の質の低下。
精神的な責任やストレス。
これらは、練習量が少なくても、確実に回復余力を削ります。
▶︎ 起きやすい判断ミス|「競技内だけ」で完結させる
社会人でよく見られるのは、回復判断を競技時間・練習量だけで完結させてしまうことです。
「今日は短時間だから大丈夫」
「練習量は少ないから問題ない」
しかし、回復は練習時間中だけで起きるものではありません。
身体は24時間、常に回復と緊張を行き来しています。
仕事で交感神経が上がり続けている状態では、たとえ練習量が軽くても、身体は“回復に向かえない状態”になっていることがあります。
▶︎ 回復できる社会人がしている判断|生活を含めた全体設計
回復できている社会人アスリートは、練習内容そのものよりも、入り方と戻り方をよく見ています。
たとえば、
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練習前から身体が重い
-
呼吸が浅く、集中が続かない
-
ウォームアップで軽さが出てこない
こうしたサインを、「年齢のせい」や「気のせい」で片づけません。
社会人アスリートにとって重要なのは、
競技負荷 × 生活負荷 × 回復余力
この3つを同時に見ることです。
今日は練習量を減らすべき日なのか。
それとも、出力は抑えて整える日なのか。
あるいは、短時間でも質を上げる日なのか。
この判断ができるかどうかで、
-
回復が追いつく流れ
-
じわじわ削られていく流れ
が分かれていきます。
社会人アスリートに必要なのは、「時間を捻出する努力」よりも、回復を前提にした判断設計です。
🔵 ③ レギュラー・主力選手の場合
―「抜けない疲労」を前提に判断する立場―
レギュラーや主力選手は、回復判断において最も特殊な立場にあります。
なぜなら、「完全に回復した状態でプレーできる日が、ほとんど存在しない」からです。
試合間隔は短く、練習強度も高く、役割上、負荷を避ける選択肢が少ない。
この状況で「完全回復してから次に進む」という基準を持ってしまうと、判断そのものが機能しなくなります。
▶︎ 起きやすい判断ミス|「雑な許容」が積み重なる
主力選手ほど起きやすいのが、違和感に対する判断の雑化です。
「このくらいは普通」
「抜けないのは仕方ない」
「試合に出ているから問題ない」
この判断自体が、すぐに間違いになるわけではありません。
問題は、違和感を“評価せずに流す”状態が続くことです。
主力選手の身体では、
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以前と同じ場所に同じ重さが残る
-
出力を下げても抜けない
-
整えても反応が出なくなる
こうした変化が起き始めると、それは単なる「抜けない疲労」ではなく、回復が破綻し始めているサインです。
▶︎ 回復できる主力選手の判断|「変化する余地」を見る
回復できている主力選手は、違和感があるかどうかでは判断しません。
見ているのは、調整によって変化するかどうかです。
たとえば、
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出力を一段落とすと軽くなるか
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整えたあとに反応が返ってくるか
-
翌日に違和感の質が変わっているか
この「変化の余地」が残っているうちは、回復はまだ破綻していません。
逆に、
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抑えても変わらない
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整えても反応がない
-
日をまたいでも同じ重さが残る
この状態で無理を重ねると、違和感は「前提条件」から「固定された状態」へ移行していきます。
主力選手に本当に必要なのは、回復を完了させる力ではありません。
回復を破綻させない判断力
これが、シーズンを通して戦える選手と、途中で崩れる選手を分けます。
🔵 ④ 控え・復帰直後の選手の場合
―最も「判断を誤りやすい」立場―
控え選手や復帰直後の選手は、回復判断において最も危険な立場です。
理由はシンプルで、身体よりも心理が判断を支配しやすいからです。
「アピールしなければならない」
「遅れを取り戻したい」
「止まったら戻れなくなる気がする」
この心理状態では、回復判断はほぼ機能しません。
▶︎ 起きやすい判断ミス|判断ではなく「追い込み」になる
この立場で最も多いのが、次のような行動です。
「できるなら、全部やる」
「戻らなくても、今は我慢する」
一見、前向きで覚悟のある姿勢に見えます。
しかしこれは判断ではなく、追い込みです。
回復を確認する前に、負荷を積むことだけが優先されてしまう。
その結果、
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戻らない状態が続く
-
別部位に負担が移る
-
再受傷リスクが高まる
という流れに入りやすくなります。
▶︎ 回復できる復帰直後選手の判断|目的を一つに絞る
回復できている選手は、復帰期に「全部」を取り戻そうとしません。
その日の目的を、一つに絞って判断しています。
今日は
戻す日なのか
確認する日なのか
最低限の負荷を入れる日なのか
これを明確にしたうえで、それ以上のことはやらない。
復帰期は、成長期でも勝負期でもありません。
「壊さずに戻す」ための期間です。
この判断ができるかどうかで、
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復帰がスムーズに進む流れ
-
何度も振り出しに戻る流れ
が大きく分かれます。
🔵 T-performanceが立場別に必ず整理すること

T-performanceでは、競技レベルや立場が違っても、回復判断を行う際に必ず整理する共通項があります。
それは、「身体がどうなっているか」だけではなく、その人が今、どんな立場で競技に向き合っているかです。
回復判断は、筋力や可動域、疲労の量だけを見ても成立しません。
むしろ多くの場合、回復を止めているのは身体そのものではなく、判断を歪めている背景要因です。
▶︎「今、何を失うと一番困るのか」
最初に整理するのは、その人にとっての“最優先事項”です。
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レギュラーの座なのか
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復帰の流れなのか
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チーム内での信頼なのか
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学生であれば評価や進路なのか
同じ違和感、同じ疲労でも、失うものが違えば、判断の重みはまったく変わります。
回復判断が狂いやすいのは、この「失いたくないもの」が無意識に判断を上書きしているときです。
T-performanceでは、まずそこを言語化します。
▶︎「そのために、今日は何を守るべきか」
次に整理するのは、今日の判断で“守るべきもの”です。
今日は
出力を守る日なのか
感覚を守る日なのか
流れを守る日なのか
すべてを守ろうとすると、判断は必ず破綻します。
回復できている人ほど、その日の目的を一つに絞り、守る対象を限定しています。
これは消極的な判断ではありません。
競技を続けるための、極めて戦略的な判断です。
▶︎「回復判断を邪魔している要因は何か」
最後に必ず確認するのが、回復判断を妨げている要因です。
それは必ずしも身体的なものとは限りません。
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周囲からの期待
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チーム内での立場
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焦りや不安
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過去の成功体験
こうした要因が、「本当は抑えるべき日」に無理をさせているケースは非常に多い。
T-performanceでは、これらを切り離さず、判断に含めた上で整理します。
回復判断は、身体評価だけで完結するものではありません。
立場・役割・心理まで含めて、初めて“使える判断”になります。
🔵 おわりに
回復判断は「能力」ではなく「設計」
回復できる人は、特別に優れた身体を持っているわけではありません。
違いがあるとすれば、
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判断を必要以上に複雑にしない
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自分の立場と状況を正しく理解している
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回復を「感覚」ではなく「戦略」として扱っている
この3点です。
回復とは、我慢でも根性でもありません。
どう判断し、どう配分し、どう戻すか
その設計ができているかどうか。
ここまで整理してきた回復判断は、個人だけで完結させるものではありません。
次回⑨では、この判断を
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指導者
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家族
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トレーナー
と、現場でどう共有し、どうすり合わせるか
という視点から掘り下げていきます。
回復判断は、一人で抱えるものではありません。
正しく伝わってこそ、機能します。
次は、判断を共有する視点を整理します。
→ 続き
⑨ 回復判断を「一人で抱えない」ために
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