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「少し動いただけで疲れる」
「深く息を吸っているつもりなのに、息が入らない感じがする」
「検査では異常がないと言われたが、なんとなく息苦しい」
側弯症をお持ちの大人の方から、このような相談を受けることは決して珍しくありません。
特に、肩こりや背部痛と同時に「疲れやすさ」や「呼吸のしづらさ」を感じている方は多く、日常生活の中で無意識のうちに我慢を重ねているケースも目立ちます。
周囲からは
「年齢のせいでは?」
「体力が落ちているだけでは?」
と言われてしまい、ご本人も「そういうものなのかもしれない」と納得しようとしている場合も少なくありません。
ここで最初にお伝えしたいのは、その息苦しさや疲れやすさが、必ずしも肺や心臓の病気だけで説明されるものではないという点です。
もちろん、医療的な検査が必要なケースもあります。
ただ、検査では大きな異常が見つからないにもかかわらず不調が続いている場合、身体の「構造」と「使い方」に目を向ける必要があります。
側弯症があると、背骨のカーブそのものだけでなく、肋骨・胸郭・呼吸の動きにも左右差や制限が生じやすくなります。
その結果、「しっかり呼吸しているつもりでも、実際には使えていない」という状態が起こります。
この記事では、側弯症で息が浅くなりやすい理由を、呼吸と肋骨の動きという視点から整理し、「もっと頑張って深呼吸をする」以外の整え方を、理学療法士の視点で解説します。
Contents
🔵 側弯症で「疲れやすい・息が浅い」と感じやすい理由
呼吸は「肺」だけで行われているわけではない
呼吸というと、多くの方が
「肺が膨らんで、空気が入る」
「肺が縮んで、空気が出る」
というイメージを持たれていると思います。
しかし、実際には肺そのものが自力で動いているわけではありません。
肺は非常に柔らかい袋のような組織であり、周囲の構造が動くことで、はじめて空気を出し入れできる仕組みになっています。
呼吸を支えているのは、肋骨、胸郭、横隔膜、体幹の筋肉、そして姿勢全体です。
肋骨が広がり、胸郭が立体的に動くことで、肺は「中から空気を吸い込める状態」を作っています。
つまり、呼吸のしやすさは、肺の問題だけではなく、胸の形と動きに大きく左右されるということです。
▶︎ 側弯症があると胸郭の動きに左右差が出やすい
側弯症では、背骨が左右にカーブし、ねじれを伴うことが多くなります。
このねじれは、背骨だけにとどまらず、肋骨にも影響を及ぼします。
背骨と肋骨は連動しているため、背骨がねじれると、肋骨の配置や動きにも偏りが生じます。
その結果、片側の肋骨は比較的開きやすい一方で、反対側は潰れるように動きにくくなる、という状態が起こりやすくなります。
呼吸のたびに、胸郭が左右均等に広がらず、「動いている側」と「ほとんど動いていない側」が固定されてしまうのです。
見た目では分かりにくく、ご本人も自覚がないまま過ごしていることが多いですが、評価してみると、明らかな左右差が確認できるケースは少なくありません。
▶︎「吸えていない」のではなく「広がれていない」
「息が浅い」と感じている方の多くは、決して呼吸をサボっているわけでも、努力が足りないわけでもありません。
問題の本質は、空気を入れるための“器”である胸郭が、十分に広がれていないことにあります。
胸郭が広がらない状態では、どれだけ「深く吸おう」と意識しても、身体としては「これ以上広がれない」というブレーキがかかります。
その結果、横に広がれない分を、首や肩を持ち上げることで代償しようとします。
いわゆる「首肩呼吸」の状態です。
この呼吸が続くと、肩こりや首の張りが強くなるだけでなく、呼吸そのものが疲れる作業になってしまいます。
つまり、「吸えていない」のではなく、「広がる準備ができていない」状態なのです。
この状態を理解せずに、「もっと深呼吸をしなければ」と頑張ってしまうと、かえって疲れやすさや息苦しさが強くなるケースもあります。
ここまでを踏まえると、大切なのは「呼吸量を増やすこと」ではなく、呼吸が自然に入る身体の状態を作ることだということが分かってきます。
この続きを理解する上で重要になるのが、次の章でお伝えする「肋骨と呼吸の具体的な関係性」です。
🔵 呼吸と肋骨の関係|側弯症で起きやすい変化
肋骨は呼吸に合わせて立体的に動く
肋骨というと、「息を吸うと胸が前に膨らむ」「背中が広がる」といった、比較的単純な動きをイメージされる方が多いかもしれません。
しかし実際の肋骨は、もっと複雑で、かつ繊細な動きを担っています。
呼吸に合わせて、肋骨は前後方向だけでなく、左右・上下にもわずかに動きます。
その結果、胸郭全体が平面的に広がるのではなく、立体的に、風船が内側から均等に膨らむような形で動きます。
そして吐く動作では、その膨らみが力まず自然に戻っていきます。
吸うときには、肋骨が外側へ広がり、胸郭がほんの少し持ち上がり、それに連動して横隔膜が下がります。
吐くときには、肋骨は内側へ戻り、胸郭は重力に逆らうことなくしぼみ、横隔膜も元の位置へ戻ります。
この一連の「広がる → 戻る」という往復運動がスムーズに行われている状態では、呼吸は意識しなくても自然に続きます。
力を入れなくても空気が入り、吐くことも苦になりません。
言い換えると、呼吸が楽な状態とは、「より多くの空気を吸い込める状態」ではありません。
動きに余白があり、使った分だけきちんと戻れる状態こそが、呼吸のしやすさを支えています。
▶︎ 側弯とねじれが肋骨の動きを制限する仕組み
側弯症では、背骨が左右にカーブするだけでなく、多くの場合、ねじれを伴います。
このねじれは背骨単体の問題にとどまらず、背骨と関節でつながっている肋骨にもそのまま影響します。
背骨がねじれることで、肋骨の位置関係や角度に左右差が生じます。
その結果、ある部分の肋骨は、本来動くべき方向へ動こうとしても、構造的にブレーキがかかったような状態になります。
臨床の現場では、こうした肋骨を触診すると、
「途中で引っかかる感じがある」
「動き始めは悪くないが、途中から止まる」
といった特徴として感じ取れることも少なくありません。
この状態が続くと、動きにくい側の肋骨は使われなくなり、代わりに動きやすい側だけが呼吸のたびに大きく動くようになります。
そのアンバランスが、日常の呼吸という無意識の動作の中で繰り返され、徐々に身体の“当たり前”として固定されていきます。
本人としては「特に問題なく呼吸しているつもり」でも、実際には胸郭全体を使っているわけではなく、一部分だけで呼吸を続けている状態になっていることが多いのです。
▶︎ 片側だけが頑張る呼吸が疲れを生む
呼吸を胸郭の一部だけで行っていると、その部分の筋肉や神経は休む暇がありません。
本来であれば、左右の肋骨や体幹全体で分担されるはずの負担が、限られた範囲に集中し続けることになります。
その結果、
息をしているだけなのに疲れる
夕方になると一気に疲労感が出る
横になるとどっと力が抜ける
回復に時間がかかる
といった状態が起こりやすくなります。
これは単純に体力が落ちたから起きている現象ではありません。
呼吸そのものが、無意識のうちに「頑張る作業」になってしまっている状態と考える方が、実態に近いと言えます。
🔵 息苦しさ・疲労感が強くなる典型パターン
首・肩で呼吸を代償している
胸郭が十分に動かない場合、身体は何とかして空気を取り込もうとします。
その際によく見られるのが、首や肩を上下させて行う呼吸です。
一見すると「大きく息を吸えている」ように見えますが、実際には肋骨の動きはほとんど伴っていません。
首や肩周囲の筋肉を使って、無理に呼吸を補っている状態です。
この呼吸が続くと、肩こりや首こりが慢性化しやすくなるだけでなく、呼吸そのものに余計なエネルギーを使うため、疲れやすさがさらに増していきます。
▶︎ 背中が固まり「吸っても戻らない」状態
もう一つ多いのが、背中全体が緊張し続けているケースです。
本来、吐く動作では胸郭が自然に戻るはずですが、背中が固まっていると、その「戻る動き」がうまく起こりません。
その結果、吸ったあとに身体が切り替えられず、「吸ったまま止まっている」ような状態になります。
呼吸のリズムが崩れ、吸う動作ばかりが強調され、吐く時間が短くなっていきます。
こうした状態では、呼吸は自然と浅く、速くなり、息苦しさを感じやすくなります。
▶︎ 呼吸が浅く、回復に必要な時間が取れない
呼吸は自律神経とも深く関係しています。
特に、吐く動作は身体を休める方向に働き、緊張をほどく役割を担っています。
浅い呼吸が続くと、身体は常に「活動モード」から抜けきれず、意識的に休んでいるつもりでも、回復に必要な時間が確保しにくくなります。
その結果、
しっかり寝たはずなのに疲れが残る
休んでいるのに回復しない
気づくと常に身体に力が入っている
といった状態が起こりやすくなります。
🔵 「深呼吸すれば良い」では解決しない理由
胸郭が動かないまま深呼吸を頑張るとどうなるか
息苦しさを感じると、多くの方が「もっと深く吸おう」と意識します。
しかし、胸郭そのものが動かない状態でこれを行うと、本来動くべき肋骨の代わりに、首・肩・腰といった別の部位が動員されます。
その結果、
呼吸をしたあとに余計に疲れる
肩や背中が張る
腰が重く感じる
といった悪循環に陥ることがあります。
▶︎ 呼吸トレーニングで逆に疲れるケース
呼吸法や呼吸トレーニングそのものが悪いわけではありません。
ただし、土台となる肋骨や体幹の動きが整っていない状態で行うと、「整える」つもりが「頑張る呼吸」になってしまいます。
結果として、呼吸を意識すればするほど疲れる、という本末転倒な状態が起こることもあります。
▶︎ 整えるべきは「量」ではなく「動き」
ここまでを踏まえると、必要なのは「どれだけ深く吸うか」ではありません。
大切なのは、自然に広がり、自然に戻る動きがあるかどうかです。
呼吸を頑張って作るのではなく、呼吸が勝手に入ってくる身体の状態を作ること。
それが、側弯症に伴う息苦しさや疲れやすさを整えるための、最初の一歩になります。
次の章では、この呼吸の偏りをどのように評価し、どこから整えていくのかという、より具体的なリハビリの考え方をお伝えします。
🔵 側弯症の呼吸を整えるリハビリの考え方
▶︎ 評価|どこが動いて、どこが止まっているか
側弯症に伴う呼吸のしづらさを整えるうえで、最初に欠かせないのが「評価」です。
ここで言う評価とは、単に姿勢を見たり、呼吸の回数を数えたりすることではありません。
肋骨・胸郭・骨盤・体幹が、
「どの方向に、どのタイミングで、どれくらい動いているのか」
そして「本来動くはずの場所が、どこで止まっているのか」を丁寧に確認していきます。
側弯症の方の場合、
「深く呼吸しているつもり」
「胸を広げている感覚はある」
と感じていても、実際には特定の部位だけが動き、別の部位はほとんど動いていないことが少なくありません。
この「感覚と実際のズレ」を整理せずに、いきなり呼吸練習や運動を始めてしまうと、動きやすいところばかりがさらに頑張り、動いてほしいところはますます置き去りになるという状態が起こります。
だからこそ、
どこが代償して動いているのか
どこがサボっているのか
どこに無理が集中しているのか
を最初に見極めることが、呼吸リハビリの土台になります。
▶︎ 負担分散|肋骨・骨盤・体幹で呼吸を分け合う
評価によって偏りが見えてきたら、次に行うのが「負担分散」です。
ここで目指すのは、呼吸を上手くすることではなく、呼吸の役割を身体全体で分け合える状態を作ることです。
側弯症で息が浅くなっている方の多くは、首や肩、胸の一部、背中の限られた範囲といった、ごく狭い場所で呼吸を支え続けています。
この状態では、呼吸をすればするほど疲れやすくなります。
なぜなら、同じ場所が休みなく働き続けるからです。
そこでリハビリでは、肋骨が本来広がるべき方向に動けるように調整し、胸郭と骨盤、体幹が連動して動く環境を整えていきます。
呼吸の負担が、
「首や肩だけ」から「肋骨・体幹・骨盤全体」へ
分散されると、呼吸そのものに必要なエネルギーが減っていきます。
この段階で多くの方が、
「頑張っていないのに息が入りやすい」
「呼吸が静かになった」
といった変化を感じ始めます。
▶︎ 再学習|日常動作の中で自然に呼吸できる状態へ
呼吸が整ったとしても、それを施術中や練習中だけで終わらせてしまっては意味がありません。
最後に重要になるのが、「再学習」です。
再学習とは、整えた呼吸を
歩行、立位、座位、仕事や家事の姿勢
といった日常動作の中で、無意識に使える状態へ落とし込むことを指します。
側弯症の方は、
立つと呼吸が浅くなる
歩くと肩が上がる
座っていると息が止まりやすい
といった場面が非常に多く見られます。
そのため、
「この姿勢だと呼吸がどう変わるか」
「動作のどこで呼吸が止まりやすいか」
を一つひとつ確認しながら、崩れにくい使い方を身体に覚えさせていきます。
この再学習が進むと、意識しなくても呼吸が浅くなりにくくなり、日常生活そのものが疲れにくくなっていきます。
🔵 まとめ|呼吸が変わると、疲れやすさも変わる
側弯症による
「息が浅い」「すぐ疲れる」
という感覚は、決して気のせいや、単なる体力不足だけで片付けられるものではありません。
多くの場合、それは呼吸を支える肋骨や体幹の動きが偏っているだけというケースが少なくありません。
呼吸が変わると、疲れ方が変わり、回復のスピードが変わり、日常生活の中で感じる余裕も変わっていきます。
「もっと頑張って呼吸する」必要はありません。
必要なのは、呼吸が自然に入ってくる身体の状態を作ることです。
それができたとき、側弯症と付き合いながらも、疲れに振り回されにくい日常が少しずつ取り戻されていきます。
この記事では、側弯症で「息が浅い」「疲れやすい」と感じやすい理由を、呼吸と肋骨の動きという視点から解説しました。
側弯症リハビリの全体像(痛み・姿勢・呼吸・再発予防を含めた考え方)は、側弯症リハビリ特設ページでまとめていますので、あわせてご覧ください。
側弯症による息苦しさや疲れやすさは、「年齢のせい」「体力の問題」と言われやすい不調です。
T-performanceでは、理学療法士が姿勢・肋骨・呼吸・体幹の連動を評価し、無理に頑張らなくても呼吸できる身体づくりを、マンツーマンでサポートしています。
検査では異常がないけれど、つらさが残っている方こそ、一度、今の呼吸がどこで止まっているのかを整理してみてください。