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「運動した方がいいのは分かっているけれど、悪化しそうで怖い」
「筋トレをしてもいいのか、やめた方がいいのか判断できない」
「ネットを調べるほど、何が正解か分からなくなる」
大人の側弯症をお持ちの方から、このような声を聞くことは決して珍しくありません。
むしろ、真面目に身体と向き合ってきた方ほど、この悩みに行き着く印象があります。
痛みや違和感がある状態で「運動」の話題になると、多くの方がまず知りたくなるのは、
・やっても大丈夫な運動
・絶対にやってはいけない運動
といった、はっきりした線引きです。
不安がある状況では、「〇か×か」を明確にして安心したくなるのは、とても自然な反応だと思います。
ただ、ここで最初に知っておいていただきたいことがあります。
それは、側弯症に「一律でダメな運動」や「絶対に禁止すべき運動」は、ほとんど存在しないという事実です。
この言葉に、少し拍子抜けされる方もいるかもしれません。
しかし、臨床の現場では、この前提を外してしまうと、かえって遠回りになるケースを多く見てきました。
問題になるのは、「何の運動をするか」ではありません。
本当に重要なのは、「今の身体の状態で、それを行っているかどうか」 です。
同じ運動でも、
・楽になる人
・何も変わらない人
・逆に調子を崩す人
が出てくる理由は、ここにあります。
この記事では、「腹筋はダメ」「筋トレは危険」といった単純な〇×ではなく、側弯症の方が自分の身体で運動を判断するための“軸” を、理学療法士の視点から丁寧に整理していきます。
Contents
🔵 側弯症に「運動禁止リスト」は存在しない
▶︎ なぜ「◯◯はダメ」と言い切れないのか
側弯症は、同じ診断名がついていても、その中身は人によって大きく異なります。
背骨のカーブの方向や大きさ、ねじれの有無や程度。
それに加えて、年齢、生活習慣、仕事の内容、運動歴、これまでの不調の経過。
これらが違えば、身体の支え方や負担のかかり方はまったく別物になります。
そのため、「この運動なら安全」「これは危険」と一律に言い切ること自体が、現実的ではありません。
実際の現場でも、同じ体幹トレーニングを行って「腰が楽になった」「姿勢が安定した」と感じる人がいる一方で、同じ内容で「腰が重くなった」「背中が張ってきた」と訴える人もいます。
どちらかが間違っているわけではありません。
身体の前提条件が違うだけなのです。
それにもかかわらず、運動名だけで「これはダメ」「これは安全」と判断してしまうと、本来は使える選択肢まで、自分から手放してしまうことになります。
さらに注意したいのは、「禁止」を探し続けるほど、身体の判断力が外に委ねられてしまうという点です。
「これはやっていいですか?」
「これは危険ですか?」
という問いばかりが増えると、自分の身体の反応を感じ取る力が、少しずつ鈍っていきます。
側弯症と長く付き合っていく上で大切なのは、誰かが作った禁止リストに従うことではなく、自分の身体の状態を基準に判断できるようになることです。
そのために必要なのが、次の章でお伝えする「運動を見極める判断軸」になります。
🔵 問題は運動の種類ではなく「支え方」
運動で悪化しやすい人に共通する前提条件
運動で調子を崩しやすい側弯症の方には、いくつか共通する前提条件があります。
それは偶然ではなく、身体の状態として非常に一貫しています。
多くの場合、
・呼吸が浅くなっている
・骨盤や胸郭が固まり、動きが少ない
・肩・背中・腰が、すでに「支え役」として酷使されている
といった状態が重なっています。
このような身体では、運動を始めた瞬間から、すでに余裕がありません。
本来であれば、骨盤や下肢、胸郭、呼吸などで分担されるはずの負担を、限られた部位だけで受け止めながら動くことになります。
つまり、運動をしているつもりでも、実際には「支え続けながら動いている」状態です。
この状態でスクワットをしても、体幹トレーニングをしても、身体は刺激として運動を受け取る余地がありません。
結果として、運動は「整える刺激」ではなく、すでに疲れているところへの負担の上塗りになってしまいます。
ここで強調しておきたいのは、運動そのものが悪いわけではないという点です。
問題になるのは、支えられない状態のまま運動をしてしまうことです。
同じ運動でも、支え直したあとに行えばプラスに働き、支えられていない状態で行えばマイナスに働く。
この違いが、「運動すると良くなる人」と「運動すると悪化する人」を分けています。
🔵 「やって良い運動」を見極める3つの判断軸
側弯症の運動を考えるとき、「筋トレはダメ」「この運動は安全」といった運動名で判断するよりも、身体の反応を基準にすることが何より重要です。
そのために役立つのが、次の3つの判断軸です。
▶︎ 判断軸① 呼吸が止まらないか
運動中に、無意識に息を止めていないか。
あるいは、息を止めないと動作ができない状態になっていないか。
これは非常に重要なサインです。
呼吸が止まるということは、身体が「固めることでしか支えられない」状態に入っていることを意味します。
腹圧を高めて支えているつもりでも、実際には逃げ道がなく、首・肩・腰に余計な緊張が集まりやすくなります。
側弯症の場合、この「固める支え方」は、背中や腰、肩の一部に負担を集中させやすく、痛みや違和感を助長する要因になりやすいです。
呼吸を続けながら行えるかどうか。
それは、「今の身体にとって適切な負荷かどうか」を見極める、非常に分かりやすい基準になります。
▶︎ 判断軸② 片側だけが頑張っていないか
運動中、左右のどちらかだけが明らかに踏ん張っていないか。
動かしているつもりでも、実際には片側が支え続けていないか。
側弯症では、「効いている感じが強い」「ここに効く」という感覚が、必ずしも良いサインとは限りません。
むしろ、
・いつも同じ側がきつい
・同じ場所だけが疲れる
・片側だけが先に限界を迎える
といった場合、その運動は身体の偏りを強化している可能性があります。
側弯症では、効いている=正しく使えているではなく、効いている=偏って使っているというケースも少なくありません。
運動中は、「どこに効いているか」だけでなく、どこが支え役を押し付けられているかを冷静に観察する視点が必要です。
▶︎ 判断軸③ 終わった後に楽か、重いか
運動の良し悪しを判断するうえで、実は一番大切なのは「運動中」よりも「運動後」です。
運動が終わったあと、
呼吸がしやすくなった
身体が軽く感じる
姿勢が取りやすくなった
といった変化があれば、その運動は今の身体に合っている可能性が高いと言えます。
一方で、
どっと疲れが出る
肩や背中が重くなる
腰が張る
翌日まで違和感が残る
といった場合は、運動の内容そのものではなく、負荷の強さや順番が合っていない可能性を疑う必要があります。
「きつかったけど効いた」という感覚が、必ずしもプラスとは限りません。
側弯症の場合は特に、終わったあとにどう感じるかが、運動の適否を教えてくれます。
🔵 「避けたい運動」の正体|運動名ではなく“状態”
腹筋、背筋、体幹トレーニング。
これらが「側弯症には危険」「やらない方がいい」と言われることがありますが、臨床の視点から見ると、本質はそこではありません。
問題になるのは、固めるしか選択肢がない身体の状態で行う筋トレです。
本来、筋トレや体幹トレーニングは、身体がある程度「分担して支えられる状態」で行われることで、安定性や動きやすさを高める役割を果たします。
しかし、側弯症の方でよく見られるのは、すでに肩・背中・腰といった限られた部位が、日常生活の中で「支え役」を背負わされている状態です。
そのような身体で筋トレを行うと、本来使わせたい筋肉ではなく、すでに頑張り続けている部位が、さらに頑張る形になりやすくなります。
結果として、
・姿勢は安定したように感じるが、後で強い疲労が出る
・運動中は問題ないが、数時間後や翌日に痛みが増す
・「鍛えているはずなのに、楽になる感じがしない」
といった反応が起こります。
つまり、避けるべきなのは「筋トレ」という名前ではなく、逃げ道のない状態で筋トレをしてしまうことなのです。
🔵 避けたいのはこういう状況
側弯症の運動で本当に注意すべきなのは、特定の運動種目ではありません。
問題になりやすいのは、次のような「状況」です。
評価がないまま負荷を上げてしまうと、今の身体がどこで支えているのかが分からないまま、弱点に重りを載せることになります。
痛みや違和感がある日に「気合」で行ってしまうと、身体はすでに余裕がない状態で、さらに固める選択しかできなくなります。
呼吸や姿勢を無視して回数だけをこなすと、運動は調整ではなく「耐える作業」に変わってしまいます。
これらの共通点は、身体にとってその時間が「整える時間」ではなく、「耐える時間」になっているという点です。
側弯症の運動で怖いのは、「やった瞬間に悪化すること」よりも、少しずつ偏りを強めてしまうことです。
🔵 側弯症の運動は「評価 → 分散 → 再学習」の順
▶︎ 評価|今の身体で何が起きているか
運動を考える前に、まず必要なのは評価です。
それは、「どこが痛いか」を確認することではありません。
見るべきなのは、
✅ どこが動きすぎているのか
✅ どこがほとんど動いていないのか
✅ どこが無意識に支え役を担っているのか
といった、身体全体の役割分担です。
多くの場合、痛みが出ている場所は「原因」ではなく、支えすぎた結果として表に出ている場所です。
この整理ができると、「鍛えるべきところ」と「今は休ませるべきところ」が、自然と見えてきます。
▶︎ 負担分散|運動前にやるべき準備
評価で偏りが見えてきたら、いきなり筋トレや運動に入るのではなく、まずは負担を分散できる身体を作ります。
具体的には、
骨盤が左右で固まっていないか
胸郭が呼吸に合わせて動けているか
呼吸が首や肩に逃げていないか
といった点を整え、支えを一点に集中させない状態を作ります。
この準備ができるだけで、同じ運動でも身体の受け取り方は大きく変わります。
▶︎ 再学習|生活で使える運動へ
最後の段階は、運動を「特別な時間」で終わらせないことです。
どれだけ良い運動をしても、日常生活で元の支え方に戻ってしまえば、効果は長続きしません。
歩くとき
立ち上がるとき
座っているとき
こうした日常動作の中で、呼吸が止まらず、どこか一部だけが頑張らない状態を保てるか。
ここまで含めて初めて、その運動は「側弯症に合った運動」と言えます。
🔵 迷ったら「運動する/しない」より先にやること
運動が怖いと感じるとき、それは意志が弱いからでも、身体が弱いからでもありません。
多くの場合、判断材料が足りていないだけです。
側弯症では、
「今日は運動していいのか」
「これはやって大丈夫なのか」
と悩む前に、今はどの段階なのかを知ることが、最も安全で確実な選択になります。
整える段階なのか。
分散を作る段階なのか。
再学習として運動を使える段階なのか。
この順番が分かると、運動は「怖いもの」ではなく、身体を取り戻すための道具に変わっていきます。
側弯症の運動は、「やる・やらない」の二択ではありません。
「今、何を整える段階か」を知ることから始まります。
🔵 まとめ|側弯症の運動は「禁止」ではなく「設計」
側弯症において、運動は決して敵ではありません。
痛みや違和感があるからといって、運動そのものを避け続けることが、必ずしも正解とは限らないからです。
本当に必要なのは、「やってはいけないこと」を増やすことではなく、今の身体に合った形で運動を設計することです。
側弯症の方が運動に対して不安を感じやすいのは、運動が危険だからではありません。
「何を基準に判断すればいいのか」が分からないまま、自己判断を迫られてきたからです。
しかし、判断軸があれば話は変わります。
呼吸が止まらないか
支えが一部に集中していないか
終わったあとに身体が楽になっているか
こうした視点を持つことで、運動は「怖いもの」ではなく、身体を整えるための手段として使えるようになります。
大切なのは、「何の運動をするか」よりも、「どう支えられる状態でそれを行っているか」です。
この順番を守ることができれば、運動は悪化の原因ではなく、長く身体と付き合っていくための味方になります。
側弯症の運動は、禁止か解禁かの二択ではありません。
設計できているかどうか、それだけです。
この記事では、側弯症のある方が「運動をして良いのか」「何を避けるべきか」で迷いやすい理由と、運動名の○×ではなく、身体の状態から判断するための軸について解説しました。
側弯症リハビリの全体像(原因の捉え方・リハビリの考え方・運動との付き合い方・当施設の方針)については、側弯症リハビリ特設ページで体系的にまとめています。
全体像から整理したい方は、まずはこちらをご覧ください。
側弯症における運動の悩みは、「筋トレが悪い」「この運動は禁忌」といった単純な話ではありません。
問題になるのは、今の身体が“支えられる状態”かどうかを確認しないまま動いてしまうことです。
T-performanceでは、理学療法士が姿勢・呼吸・体幹の使われ方・歩行動作を評価した上で、「今やって良い運動」「今は避けた方が良い負荷」を明確に整理し、無理なく続けられる運動の順番を設計していきます。
・運動した方がいいのは分かっているけれど、悪化が怖い
・筋トレをすると、かえって調子を崩してしまう
・この先、どこまで動いていいのか分からず不安
そう感じている方こそ、運動を増やす前に、今の身体の状態を一度整理することが大切です。
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