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変形性膝関節症と診断されてから、
「運動した方がいいのか、安静にした方がいいのか分からない」
「膝が痛い日は、動かさない方がいいのではと不安になる」
こうした悩みを抱えている方は非常に多くいらっしゃいます。
特に困るのは、痛みの出方に波があることです。
昨日はそこまで気にならなかったのに、今日は歩き出しでズキッとする。階段だけが強く痛む日もあれば、立ち上がりだけが怖い日もある。すると、頭の中に自然と「悪化しているのでは?」という不安が浮かびます。
その不安が強くなるほど、検索する内容も極端になりがちです。
「変形性膝関節症 運動」
「変形性膝関節症 やっていい運動」
「膝 変形 運動 禁忌」
多くの方が、“白黒はっきりした答え”を求めて検索します。
なぜなら、間違えたら悪化しそうで怖いからです。これは当然の反応です。
一方で、インターネット上には、刺激の強い表現がたくさん並びます。
「スクワットはNG」
「ウォーキングは危険」
「膝に負担がかかる運動は禁止」
こうした言葉は分かりやすい反面、受け取り方によっては、運動そのものが怖くなってしまいます。結果として、動く量が減り、筋力も落ち、膝を守る仕組みが弱くなっていく──こうした悪循環に入り込む方を、リハビリの現場では実際によく見ます。
ここで大切なのは、結論から言うと「運動が正しいか、安静が正しいか」ではありません。
問題は「どんな運動か」よりも、「今の状態で、その運動を選んでいるかどうか」にあります。
同じスクワットでも、膝に炎症が強い時期にやるのか、痛みが落ち着いた時期にフォームを整えてやるのかで意味がまったく変わります。
同じウォーキングでも、歩き方が崩れて膝の内側に負担が集中した状態で増やすのか、負荷が分散できる身体の使い方を作ってから量を増やすのかで、結果は大きく変わります。
つまり、変形性膝関節症の運動は「種目」ではなく、判断の順番が重要です。
そして、その判断の材料になるのが、痛みの出方、腫れ、動作のクセ、翌日の反応、生活背景(仕事・家事・運動習慣)などの“現実の情報”です。
この記事では、リハビリの現場で実際によく起きる「迷いどころ」を整理しながら、「やっていい運動/今は避けたい運動」を分けるための考え方を、理学療法士の視点から具体的に解説していきます。
取り上げるポイントは主に3つです。
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変形性膝関節症で「運動が必要」と言われる本当の理由
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「やっていい/避けたい」を分ける判断軸(NGリストではなく“見極め方”)
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動かさないことで起こるリスク(実はここが盲点になりやすい)
この記事を読み終えた時点で、少なくとも
「何となく怖いから動かさない」
「不安だからネットのNGだけ守る」
という状態から一歩抜け出して、“自分の状態に合わせて判断できる”土台を持てるように構成しています。
Contents
🔵 変形性膝関節症で「運動が必要」と言われる本当の理由
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、関節の変形や炎症、痛みが出やすくなる疾患です。
そのため「軟骨が減るなら、動かせば減りが進むのでは?」と感じるのは自然ですし、実際に医療機関で「体重をかけすぎないように」「無理しないように」と言われると、余計に慎重になります。
ここで多い誤解が、「減った軟骨は戻らない → だから運動しても意味がない」という考え方です。これは“半分は正しい”のですが、“半分は危険”です。
確かに、すり減った軟骨を元通りにすることは簡単ではありません。
しかし、変形性膝関節症で困っている症状──たとえば歩き出しの痛み、階段の不安、立ち座りの怖さ、長時間歩いた後のだるさ──は、軟骨の問題だけで決まっているわけではありません。
リハビリの現場でよく見えるのは、膝の痛みや動きづらさが、次のような要素の“組み合わせ”で起きているケースです。
膝関節そのものの変化に加えて、日常生活の中で「膝を守るはずの仕組み」が弱くなっている。
そして、弱くなった部分をかばうために動作のバランスが崩れ、さらに膝の一部に負担が集中する。
この流れが続くと、痛みが出やすくなり、怖くて動かさなくなり、筋力が落ち、ますます不安定になる──という悪循環に入っていきます。
運動療法の本質は、この悪循環を断ち切ることです。
「筋肉を鍛えるため」だけが目的ではありません。もっと現実的で、生活に直結した目的があります。
たとえば、膝関節は単体で働いている関節ではありません。
歩く、立つ、しゃがむ、階段を上る。こうした動作は、膝だけでなく、骨盤・股関節・足関節、そして体幹が連動して初めて成立します。
ところが、変形性膝関節症の方は、痛みを避けるうちに、股関節がうまく使えなくなったり、体幹が傾いたまま動くクセがついたり、足部が不安定になって膝へ負担が上がったりします。こうした「連動の乱れ」が、膝の内側への負担を増やしやすいのです。
だからこそ運動は、「膝をいじめる作業」ではなく、膝にかかる負担を分散し、関節を守る身体の使い方を取り戻す作業になります。
運動の目的を、あえて生活の言葉に置き換えるなら、次のようになります。
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立ち上がりで膝に“突っ込む負担”が起きないように、支え方を整える
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歩行で膝の内側だけに体重が乗り続けないように、荷重の流れを整える
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階段で痛みが出る人が、必要な筋肉を必要な順番で使えるようにする
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痛みで動かない日が続いても、筋力と可動域を落としすぎないように維持する
ここで強調しておきたいのは、運動のゴールが「痛みを我慢して鍛える」ことではない点です。
むしろ逆で、痛みを増やさず、膝を守れる範囲で、必要な刺激を入れることが重要です。
そのためには、「頑張る運動」より先に、状態の見極めと、負荷の調整(量・頻度・フォーム・タイミング)が必要になります。
🔵「やっていい運動・避けたい運動」は時期と状態で変わる
ここが、変形性膝関節症の運動を考えるうえで、最も重要なポイントです。
先に結論をお伝えすると、変形性膝関節症において、すべての人に共通する「NG運動リスト」は存在しません。
インターネットや書籍では、「この運動は良い」「これは避けた方がいい」といった分類がよく見られます。こうした情報は、一見すると分かりやすく、安心感もあります。しかし、実際の臨床現場で多くの方を見ていると、そのまま当てはめることができないケースが非常に多いのが現実です。
なぜなら、同じ「変形性膝関節症」という診断名であっても、膝の状態は人によって大きく異なるからです。
痛みの強さだけでなく、痛みが出るタイミング、腫れの有無、関節の動きやすさ、歩行や立ち上がりの安定性、生活の中で膝をどれくらい使っているか──これらは一人ひとりまったく違います。
たとえば、同じスクワットという運動でも、
・膝が腫れて熱をもっている時期に行う場合
・痛みはあるが腫れはなく、動きは比較的スムーズな時期に行う場合
では、膝への影響はまったく異なります。
同じウォーキングでも、
・歩き始めから痛みが強く、フォームが崩れている状態
・歩き出しは少し違和感があるが、徐々に動きが安定してくる状態
では、続けるべきか、量を調整すべきかの判断は変わってきます。
この違いを無視して、「○○はNG」「△△は安全」と一括りにしてしまうことが、かえって混乱や不安を生みやすくします。
そこで、運動を選ぶ際に役立つのが、次の3つの判断軸です。
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今、膝に炎症が強く出ているかどうか
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動作の途中や繰り返しの中で、痛みが増えていくかどうか
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運動した当日だけでなく、翌日以降に痛みや腫れが残っていないか
これらは、専門的な検査がなくても、ご本人が日常の中で比較的確認しやすいポイントです。
たとえば、運動を始めた直後は少し違和感があるものの、動いているうちに楽になり、終わった後も強い痛みや腫れが残らないのであれば、その運動は「今の状態では大きな問題が出にくい可能性が高い」と判断できます。
一方で、動かすたびに痛みが増していき、終わった後や翌日にまで違和感や腫れが残る場合は、「今は負荷が強すぎる」「やり方や量を調整する必要がある」というサインになります。
重要なのは、これを「我慢できるかどうか」で判断しないことです。
痛みを我慢できるかどうかと、膝にとって適切かどうかは別問題です。
判断の基準は、「膝がその刺激を処理できているかどうか」にあります。
変形性膝関節症の運動は、種目の名前ではなく、今の状態と反応を見ながら選ぶものという視点を持つことが、まず第一歩になります。
🔵「痛みがある=全部ダメ」ではない理由
膝に痛みがあると、多くの方が
「動かしたら悪化するのではないか」
「今は安静にした方がいいのではないか」
と不安になります。この感覚自体は、とても自然なものです。痛みは身体からの大切なサインであり、無視していいものではありません。
しかし、リハビリの現場で実際によく目にするのは、「痛みがあるから何もしない」ことが続いた結果、かえって状態が悪くなってしまうケースです。
たとえば、痛みを避けて膝をほとんど動かさない期間が続くと、少しずつ次のような変化が起こります。
太ももやお尻の筋肉が落ち、立ち上がりや歩行時に膝を支える力が弱くなります。関節の動きも徐々に硬くなり、可動域が狭くなります。すると、動き出す際に必要以上の力が膝に集中しやすくなり、結果として「少しの動作で痛みが出る膝」になってしまいます。
さらに、膝をかばうことで歩き方が崩れ、反対側の膝や股関節、腰に負担が広がるケースも少なくありません。
「最初は膝だけだったのに、最近は腰までつらくなってきた」という訴えは、こうした流れの中でよく聞かれます。
このように考えると、変形性膝関節症で本当に難しいのは、「動くか、動かさないか」という二択ではないことが分かります。
重要なのは、「痛みを無視して無理に動く」ことでも、「痛みがあるから完全に止める」ことでもありません。
その間にある、今の状態で安全に使える範囲を見極めることです。
たとえば、
・痛みが出る動作でも、やり方や角度を変えれば問題なくできる場合
・負荷を軽くすれば、かえって動いた方が楽になる場合
・その日は控えめにし、翌日以降の反応を見ながら調整すべき場合
こうした選択肢は、「全部ダメ」と決めつけてしまうと見えなくなります。
痛みは、「危険だから即中止」という意味だけでなく、「使い方や量を見直してほしい」というサインであることも多いのです。
そのサインをどう読み取るかが、変形性膝関節症の運動では非常に重要になります。
次の章では、こうした判断を誤った結果として起こりやすい「動かさないことによるリスク」**について、もう少し具体的に整理していきます。
ここを理解しておくことで、「なぜ運動の判断が必要なのか」が、より現実的に見えてくるはずです。
🔵「避けたい運動」とは何か
変形性膝関節症で「避けたい運動」と聞くと、多くの方が「この運動はダメ」「あの動作は危険」といった“禁止リスト”を思い浮かべるかもしれません。
しかし、リハビリの現場で重視しているのは、運動の名前そのものではなく、その運動を行っているときの“膝の状態”です。
一般的に注意が必要なのは、膝に強い負担が一点に集中している状態での運動です。
これは、運動の種類というよりも、「使い方」と「タイミング」の問題であることがほとんどです。
たとえば、深くしゃがむ動作そのものが必ずしも悪いわけではありません。
しかし、体幹が崩れ、股関節がうまく使えず、膝だけで体重を受け止めている状態で、勢いよくしゃがんだり立ち上がったりすれば、膝への負担は一気に高まります。
また、すでに痛みや腫れが出ているにもかかわらず、「筋力をつけなければ」と考えて負荷をどんどん増やしてしまうと、膝がその刺激を処理しきれず、炎症が長引く原因になります。
フォームが崩れたまま行う運動も同様です。
膝が内側に入り込んだり、上半身が大きく前に倒れたりする状態で運動を続けると、本来分散されるはずの負荷が、膝の内側や特定の部位に集中しやすくなります。このような状態では、「運動しているのに、なぜか膝が楽にならない」という結果になりやすいのです。
ここで重要なのは、これらの動作が「一生やってはいけない」という意味ではないという点です。
変形性膝関節症の方でも、体幹や股関節の使い方が整い、膝にかかる力を全身で分散できるようになれば、同じ動作でも問題なく行えるケースは少なくありません。
実際、リハビリを進める中で、最初は避けていた動作が、状態の変化とともに「できる動作」に変わっていく場面はよくあります。
だからこそ、「この運動は危険」と決めつけるよりも、今の自分の身体で、その動作を安全に行える条件が整っているかという視点で考えることが大切になります。
避けたいのは運動そのものではなく、
「膝だけで頑張らせる使い方」
「状態を無視した負荷のかけ方」
である、という点を押さえておくと判断がしやすくなります。
🔵「動かさないリスク」を知っておくことが重要
変形性膝関節症で、本当に避けたいものは何でしょうか。
それは、運動そのものではなく、判断を誤った結果として続いてしまう「不活動」です。
痛みや不安があると、
「今日は動かないでおこう」
「しばらく安静にして様子を見よう」
と考えるのは自然なことです。問題は、それが一時的な調整ではなく、長期間続いてしまうことにあります。
動かさない期間が続くと、身体は正直に反応します。
まず、膝を支える太ももやお尻の筋力が少しずつ低下していきます。筋力が落ちると、立ち上がりや歩行の際に膝への負担が増え、結果として「前よりも少ない動きで痛みが出る」状態になりやすくなります。
同時に、関節や身体全体のバランス能力も低下します。
ふらつきが出やすくなり、転倒への不安が強まると、さらに動かなくなる──この悪循環に入る方も少なくありません。活動量が減ることで体重が増えれば、膝にかかる負担はさらに大きくなります。
こうした変化は、膝関節だけの問題にとどまりません。
外出の頻度が減り、趣味や人との交流が少なくなり、気持ちの面でも「できないこと」に意識が向きやすくなります。「前は普通にできていたのに」という思いが積み重なることで、動くことそのものが怖くなってしまうケースもあります。
ここで大切なのは、「動かさない=膝を守っている」とは限らない、という視点です。
適切に動かすことは、膝を酷使することではなく、膝を守るための準備でもあります。
変形性膝関節症のリハビリでは、
「どこまで動いていいか」
「どの程度なら安全か」
を見極めながら、少しずつ活動を維持していくことが重要になります。
動かさないことによるリスクを知っておくことで、運動に対する不安も、過剰なブレーキも、必要以上に強くなりにくくなります。
次の章では、こうした判断に迷ったときに、どのような視点で自分の状態を整理すればよいのかを、もう一段具体的に解説していきます。
🔵 判断に迷うときに大切な考え方
変形性膝関節症の運動について調べていると、
「この運動は正解か」
「やってはいけないことをしていないか」
という視点に意識が向きやすくなります。
しかし、リハビリの現場で実際に大切にしているのは、運動そのものの正解・不正解を探すことではありません。
それよりも、「今の自分の身体に、その運動が合っているかどうか」を丁寧に見ていくことです。
判断に迷ったときは、まず次のような問いかけをしてみてください。
この運動は、今の自分の状態に無理なく当てはまっているだろうか。
膝だけに負担が集中する使い方になっていないだろうか。
続けていくことで、日常生活が少しでも楽になるイメージが持てるだろうか。
ここで大切なのは、「一回やってどうだったか」だけで判断しないことです。
運動は、その場の痛みだけでなく、動いている最中の感覚、終わった後の状態、翌日の反応まで含めて評価する必要があります。
動作中は問題なさそうでも、翌日まで違和感や腫れが残る場合は、負荷ややり方を見直すサインかもしれません。逆に、最初は少し不安があっても、動くうちに楽になり、翌日も問題なければ、その運動は今の状態に合っている可能性があります。
また、変形性膝関節症の運動判断は、膝だけを見ていては不十分です。
姿勢や歩き方、体幹の安定性、股関節や足関節の使われ方といった「全身の連動」が、膝への負担を大きく左右します。膝の痛みがなかなか改善しない背景には、膝以外の部位がうまく使えていないケースも多く見られます。
だからこそ、「この運動ができるかどうか」ではなく、「この運動を安全に行える身体の状態かどうか」という視点で整理することが、長い目で見たときに膝を守ることにつながります。
判断に迷ったときほど、焦って答えを出そうとせず、今の状態を一度立ち止まって整理することが重要です。
変形性膝関節症は、症状の出方や進行の仕方、必要なリハビリの内容が人によって大きく異なります。
そのため、運動の判断も、疾患の全体像を理解したうえで行うことが欠かせません。
変形性膝関節症の症状や進行段階、リハビリの考え方、当施設が行っている再構築リハビリの全体像については、特設ページで詳しくまとめています。
🔵 まとめ
変形性膝関節症において、「やっていい運動」「避けたい運動」は、最初から決まっている答えではありません。
状態は日によって変わり、生活環境や身体の使い方によっても変化します。
だからこそ大切なのは、
今の自分の状態を正しく把握すること。
動いたときの痛みの出方や、その後の回復の反応を丁寧に見ること。
無理なく続けられ、生活が少しずつ楽になる形を選ぶこと。
これらを積み重ねていくことが、将来の膝を守ることにつながります。
もし今、
「動いた方がいいのか分からない」
「この運動で本当に合っているのか不安」
と感じているのであれば、それは決して弱さではありません。むしろ、身体と真剣に向き合っている証拠です。
一度立ち止まり、膝だけでなく全身の状態や生活背景まで含めて整理することが、変形性膝関節症と長く付き合っていくうえでの、最も確実な第一歩になります。
焦らず、比べず、今の自分に合った判断を積み重ねていく。
その積み重ねが、「動ける膝」から「動き続けられる生活」へとつながっていきます。