脳梗塞リハビリと栄養の重要性について|T-performance

 

 

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「頑張っているのに回復しない」背景には、静かに進む“エネルギー不足”がある

 

 脳卒中の方が退院後によく口にされるのが、「思うように身体が動かない」という感覚です。

少し歩いただけで疲れてしまう。

朝は身体が重く、動き出すまで時間がかかる。

リハビリではできた動作が家では再現できず、気力が湧かない日が続く。

「気持ちの問題」「努力不足」と誤解されることもありますが、実際はまったく違います。

 

こうした状態の背景には、“エネルギー不足(低栄養)”という見えにくい問題があります。

脳卒中後の身体は、例えるなら

「燃料が十分に入っていないのに、坂道を登ろうとする車」のようなものです。

アクセルを踏んでも前へ進もうとしない。エンジンはうなるのに動かない。そんな状況に似ています。

 

脳や筋肉は、「栄養」という燃料が満たされて初めて、動作・学習・回復が行われます。

この燃料が不足した状態では、どれだけ前向きな気持ちがあっても、本来の力が発揮されません。

脳卒中の回復は、リハビリの時間だけで決まるものではありません。

“身体が動ける前提条件が満たされているかどうか”

ここが大きく影響します。

 

本ブログでは、

・脳卒中後に栄養不足が起きやすい理由

・なぜ栄養が回復に欠かせないのか

・食べにくさや疲れやすさを踏まえた具体的な実践方法

を、医学的な仕組みと日常生活のイメージを重ねながら、丁寧に解説していきます。

 

 

 

 

 

🔵 脳卒中後の身体は“エネルギーを使う場所”が変わる──疲れやすさの正体


 脳卒中後の身体は、健康だった頃とはまったく違うエネルギーの使い方をしています。 外から見ると「動いていないように見える」のに疲れている。これが脳卒中のリハビリを難しくする特徴のひとつです。

 

▶︎ 脳が“学び直し”に大量のエネルギーを使っている

脳卒中の損傷により脳内の回路が途切れたり弱くなったりすると、動作・姿勢・バランスは“一度初期化”されたような状態になります。

歩く、立つ、座る、手を伸ばす──

健康なときは無意識でできていたこれらの動作も、脳はまるでゼロから組み立て直すかのようにルートを再学習しなくてはなりません。

これは、自動運転で走っていた車が、突然すべて手動運転に切り替わったようなものです。

以前は軽々できていた動きでも、いまはひとつひとつ「考えて」「調整しながら」行わなければならないため、驚くほどエネルギーを消耗します。

 

そのため、

・座っているだけで疲れる

・立ち上がっただけで息が上がる

・短い移動でも消耗する

という現象が起きます。これは決して“弱っている”わけではなく、脳が必死に働いている証拠です。

 

 

 

 

▶︎ 「疲れやすい」は脳のエネルギー切れのサイン

脳は体重のわずか2%の臓器ですが、身体全体の20〜25%のエネルギーを消費します。 そのため、ほんの少し栄養が不足するだけで、脳はすぐに燃料切れを起こしてしまいます。

脳がエネルギー不足になると…

・動きの指令が弱くなる

・力が入りにくい

・学習が進みにくい

・注意が続かない

といった状態が現れます。

これは心理的な問題ではなく、身体の中で起きている“物理的現象”です。

「やる気の問題」ではなく、“やる気を出すための燃料が入っていない”と理解することが、回復の第一歩になります。

 

 

 

 

 

 

 

🔵 脳卒中後に“栄養不足が起きる理由”


──本人にも家族にも気づきにくいエネルギー低下の構造

 脳卒中後の低栄養は、本人が怠けているのでも、家族が配慮していないのでもありません。 むしろ「自然にそうなってしまう構造」があります。

 

▶︎ 食欲が落ちやすい仕組みがある

嚥下への不安、疲れやすさ、食べるスピードの低下…。 これらが積み重なると、どうしても食事量は減ります。

本人の感覚では「普通に食べている」と思っていても、実際は必要量の半分以下──というケースも珍しくありません。

特に、

・疲れているから軽く済ませる

・ムセが怖くて量を減らす

・1回の食事に時間がかかるため途中で休む

といった理由で、知らず知らずのうちにエネルギー不足が進みます。

 

 

 

▶︎ 活動量が落ちると、さらに食べられなくなる悪循環

脳卒中後は、活動量が低下しがちですが、活動量の低下は食欲にも影響します。

動かない → 空腹が起きない → 食べられない → さらに動けない

こうしたループに陥ると、体力だけでなく筋肉量も落ち、より疲れやすくなってしまいます。

筋肉量の低下は食欲中枢にも影響するため、“食べられない状態そのものが悪循環の原因”になる点がとても重要です。

 

 

 

▶︎ 家族の優しさが、結果的に栄養不足を深めることも

 誤嚥を避けるために「柔らかい物だけ」「少量だけ」「安全な食品だけ」となることは、とても自然な配慮です。

ただし、その結果“量”が極端に減ってしまうことが多く、必要な栄養に届かないケースも少なくありません。

脳卒中後の低栄養は、本人や家族の努力不足ではなく、病気に伴うメカニズムで起きるものです。

 

 

 

 

🔵 “糖質(炭水化物)”と“たんぱく質”が回復を決める理由──脳と筋肉の関係


回復を左右するのは、「栄養の種類」ではなく「必要量がきちんと入っているか」です。 その中でも特に重要なのが、

・糖質(脳の燃料)

・たんぱく質(筋肉の材料)

の2つです。

 

 

▶︎ 糖質は“脳の燃料”そのもの

脳の主要なエネルギー源は糖(グルコース)です。 糖が不足すると、脳は指令をうまく出せなくなり、次のような変化が起こります。

・動き出しが遅い

・集中できない

・ふらつきやすい

・朝だけ特に動けない

特に朝の不調は、夜間の絶食で糖が枯渇していることが大きな要因です。

「糖質制限で痩せる」という一般的な考え方は、脳卒中後の身体には合いません。

むしろ動けなさが悪化する可能性があります。

 

 

 

▶︎ たんぱく質は“動作の器”となる材料

筋肉は「動作の器」です。 たんぱく質が不足するとこの器が小さくなり、力が入りにくくなります。

・立ち上がりが重い

・歩行が不安定

・疲れやすい

・転倒リスクが上がる

という変化が進みます。

筋肉が減ると血糖の調整も難しくなり、血管への負担が増えるため再発リスクにも関わります。

 

 

 

 

 

 

🔵 “朝の不調”はエネルギー不足と自律神経の乱れが重なった状態


──朝こそ回復のゴールデンタイム

脳卒中後の方の多くが、「朝が一番つらい」と感じます。 これは偶然ではなく、生理学的な理由があります。

 

 

▶︎ 朝は脳のエネルギーが最も枯渇している

夜間は食事が取れない時間が長く続きます。 特に脳は糖を常に必要とするため、朝は一日の中で最も燃料が不足しやすい時間帯です。

燃料が空の状態でエンジンをかけても回らないのと同じで、身体が重く感じるのは当然です。

 

 

 

▶︎ 自律神経の“切り替え”にもエネルギーが必要

朝は副交感神経(休息)から交感神経(活動)へスイッチが切り替わります。 この切り替えには思っている以上にエネルギーを使います。

栄養不足があると、スムーズに切り替わらず、

・動き出しが遅い

・ぼーっとする

・身体がこわばる

といった状態が出やすくなります。

 

 

 

▶︎ 朝に取り入れたい簡単な実践

・起床後すぐに糖質をひと口(バナナ、パン、ゼリー飲料など)

・コップ1杯の水で血流を整える

・ゆっくり呼吸して身体の力みをほどく

・椅子に座り姿勢を起こすだけでも脳に刺激が入る

たったこれだけでも、その日の動きや疲れ方は大きく変わります。

 

 

 

 

 

 

🔵 T-performance独自の視点


──“栄養 × 動作 × 自律神経 × 生活”を統合し、回復を設計する

T-performanceのアプローチの特徴は、 栄養を単体で捉えるのではなく、 “生活全体の回復設計”の一部として統合して扱う点です。

脳卒中後の栄養問題は、

・食べられない

・疲れやすい

・動作が不安定

・生活リズムが崩れている

・家族の介助負担が大きい

といった複数の要素が重なって生じます。

 

 

 

▶︎ 当施設が大切にしているポイント

・“実際に食べられる量”から逆算した提案

・食べられない日の代替案(飲めるもの、刻み、間食など)

・朝のエネルギールーティンづくり

・食事内容・疲労度の見える化

・家族の負担を軽減する介助方法

栄養の知識だけでは生活は変わりません。

「その人の生活で続けられる方法」に落とし込むことこそが重要です。

 

 

 

▶︎ 栄養が整うことで生まれる変化

 

・朝の動き出しが軽くなる

・リハビリの吸収が良くなる

・疲れにくい

・気力が戻り、行動量が増える

現場でも、栄養を整えた途端に回復が一気に進む方を多く見てきました。

「動きたい」という意欲と「動ける身体の条件」が揃ったとき、回復は一気に前へ進み始めます。

 

 

 

 

 

 

🔵 「食べること」も大切なリハビリ


脳卒中後の回復は、リハビリの努力量だけで決まりません。 動くための材料が身体の中に満ちているか──ここが最大の鍵です。

多くの方は「体力がない」のではなく、

“体力をつくる材料が足りていないだけ”。

食べることは努力ではなく、治療そのものです。

そして、“生活を再建するための第一歩”でもあります。

あなたの身体には、まだ確かな力が残っています。

その力が発揮されるための環境を、これから一緒に整えていきましょう。