
人工股関節手術後、退院してからリハビリはどうする?
人工股関節全置換術(THA)を受け、無事に病院を退院したものの、
「まだうまく歩けない」
「杖をいつ外していいのかわからない」
「病院では退院できる状態と言われたけれど、自分としてはまだ不安がある」
「もう少しリハビリを続けたいけれど、どこに相談すればいいかわからない」
——このように感じる方は少なくありません。
人工股関節の手術後は、「退院できた=すべての動作が元通りになった」というわけではありません。
病院でのリハビリには、まず安全に移動できること、自宅へ戻れることなど、退院に向けて重要な役割があります。
その一方で、実際に自宅へ戻って生活してみると、長く歩くと疲れる、身体が左右に揺れる、階段が不安、杖を外すタイミングがわからない、靴下や靴を履きにくい、手術した側に体重を乗せにくい、仕事や旅行、趣味に戻れるか不安——など、入院中には分からなかった課題が見えてくることがあります。
この記事では、人工股関節手術後の退院後リハビリについて、理学療法士の視点から整理します。
Contents
🔵 人工股関節手術後のリハビリは、退院したら終わりではありません
人工股関節全置換術後は、術後早期から立ち上がりや歩行などのリハビリが行われるのが一般的です。
ただし、リハビリの進み方や退院時期は、手術方法、手術前の身体機能、年齢、筋力、痛み、合併症、自宅環境、病院ごとのリハビリ方針などによって異なります。そのため、「手術から何日たったから、この動作ができなければ遅い」と一律に判断することはできません。
大切なのは、周囲の人と比べることではなく、「今の自分の身体で、何ができていて、何がまだ課題なのか」を確認することです。
🔵 病院でのリハビリには重要な役割があります
病院で行われる術後リハビリは、人工股関節手術後の回復において非常に重要です。
術後の状態を確認しながら、ベッドからの起き上がり、立ち上がり、歩行器や杖を使った歩行、階段昇降、日常生活動作、自主トレーニング、退院後の注意事項などを練習していきます。
ここで重要なのは、「病院のリハビリが足りなかった」と考えるのではなく、病院と退院後では、リハビリの目的が少し変わってくると捉えることです。
病院では「安全に退院できる状態」を一つの重要な目標とします。一方、自宅へ戻ってからは、「近所まで歩きたい」「買い物へ行きたい」「仕事に戻りたい」「旅行したい」「ゴルフや園芸を再開したい」など、その人自身の生活に合わせた目標がより重要になります。
🔵 退院後に「リハビリが足りない」と感じやすい理由
人工股関節手術後の方からよく聞かれるのが、「手術前より痛みは楽になったけれど、まだ歩き方がおかしい気がする」という悩みです。これは必ずしも人工関節そのものに問題があるという意味ではありません。
手術前から長期間痛みがあった場合には、痛い側に体重を乗せない、身体を左右に揺らして歩く、歩幅を小さくする、股関節を十分に使わない、腰や膝で動きを代償するといった身体の使い方が習慣化していることがあります。
手術によって関節の状態が変わっても、それまで身についた歩行や姿勢のパターンがすぐに変わるとは限りません。そのため退院後は、「筋力を戻す」だけではなく「身体の使い方を再学習する」という視点も重要になります。
🔵 退院後に確認したい5つのポイント
① 痛み・腫れ・違和感
いつ痛むのか。歩き始めなのか、長時間歩いた後なのか、安静時にも痛むのか。痛みの場所や出現する状況を整理します。急激に強くなった痛み、発熱、創部の異常、強い腫れなどがある場合には、運動を続ける前に手術を受けた医療機関へ相談することが重要です。
② 股関節の動き
股関節そのものの動きだけでなく、骨盤、腰、膝、足首との連動も確認します。
人工股関節手術後には手術方法や医師の指示によって注意すべき動作が異なる場合があるため、自己判断で無理に可動域を広げることは避けます。詳しい注意動作は、人工股関節手術後に注意したい動作をご参照ください。
③ 筋力
特に歩行では、股関節周囲筋が身体を支える能力が重要になります。
ただし、「弱い筋肉をとにかく鍛える」という考え方だけでは不十分です。現在の歩行や姿勢の中で、その筋肉を適切に使えているかまで確認します。
④ 歩き方
身体が左右に揺れる、手術側へ十分に体重を乗せられない、歩幅が左右で違う、杖に頼りすぎる、反対側の脚に負担が集中するといった歩行パターンが残ることがあります。「歩けるかどうか」だけでなく、「どのように歩いているか」を見ることが重要です。
詳しくは、杖なしで歩けるのはいつ?で解説しています。
⑤ 実際の生活
リハビリ室で歩けることと、自宅や外出先で困らないことは同じではありません。
自宅の階段、玄関の段差、トイレ、浴室、靴下・靴、買い物、通勤、車の乗り降りなど、実際の生活に合わせて課題を確認します。具体的な動作のコツは階段・靴下・床生活をご参照ください。
🔵 T-performanceでは「評価→整理→順序設計→介入」で考えます
人工股関節手術後だからといって、全員に同じ運動を行えばよいわけではありません。
STEP 1|評価:
手術時期、手術方法、主治医からの指示、現在の痛み、歩行、筋力、関節の動き、日常生活動作などを確認します。
STEP 2|整理
「なぜ現在の動作がしづらいのか」を整理します。歩きにくさ一つをとっても、股関節周囲筋の機能、痛みに対する不安、手術前からの歩行習慣、骨盤・体幹の使い方、膝や足首との連動、体力など、背景は人によって異なります。
STEP 3|順序設計:
見つかった問題をすべて同時に行うのではなく、現在の生活目標から優先順位を決めます。
「まず安全に屋外を歩けるようにする」→「階段を安定させる」→「杖を外すことを検討する」→「仕事や趣味への復帰を目指す」というように段階を整理します。
STEP 4|介入:
必要に応じて、股関節周囲の運動、姿勢・バランス練習、歩行練習、体幹との協調、階段などの日常生活動作、自主トレーニングなどを組み合わせます。そして介入後には再評価を行い、次の課題を決めます。
🔵 自費リハビリが選択肢になるケース
すべての人工股関節手術後の方に、自費リハビリが必要というわけではありません。主治医や病院から指導された自主トレーニングを行いながら、順調に生活へ戻れる方も多くいらっしゃいます。
一方で、退院後も歩き方に不安がある、杖を外してよいのか判断できない、階段や外出に不安が残っている、自主トレーニングが合っているのかわからない、仕事や趣味への復帰まで相談したい、病院でのリハビリが終了した後も身体を確認してほしいという場合には、自費で身体機能や動作を確認することも一つの選択肢になります。
🔵 医療機関への相談を優先した方がよい場合
急に強い股関節痛が出た、転倒後から強く痛む、脚の位置や長さが突然変わったように感じる、急に体重をかけられなくなった、創部の異常や発熱、ふくらはぎの急な腫れ、息苦しさなど全身状態の変化がある場合には、自己判断で運動を続けず、手術を受けた医療機関や主治医へ相談してください。
T-performanceでは診断や治療を行うことはできません。
詳しい症状の見分け方は、人工股関節手術後の痛み・違和感が続くのはなぜ?で解説しています。
🔵 まとめ|退院後は「もっと頑張る」より「今必要なことを整理する」
「もっと筋トレをしなければ」「早く杖を外さなければ」と焦ってしまう方もいらっしゃいます。
しかし大切なのは、周囲の人や一般的な術後日数と比較することではありません。まず、現在の身体がどの段階にあるのかを確認することです。そして、評価→整理→優先順位を決める→必要な運動・動作練習を行う→再評価する、という順序で進めていくことが重要です。
「退院したけれど、このままで大丈夫なのかわからない」「今の歩き方や自主トレーニングを一度確認してほしい」という場合は、まず現在の状態を整理するところから始めてみてください。
🔵 静岡市で人工股関節手術後のリハビリについて相談したい方へ
T-performanceでは、人工股関節手術後など、整形外科手術後の退院後・生活期リハビリにも対応しています。
理学療法士が、手術からの経過、医師からの指示、痛み、関節の動き、筋力、姿勢、歩行、階段などの日常生活動作、今後の生活目標を確認し、現在の状態と今後の方向性を整理します。「自費リハビリに通うべきかわからない」という段階でも問題ありません。必要な支援が何なのかを確認することから始めます。
病院のリハビリが終わったあとも、まだ不安が残っている方へ
初回体験:60分 5,500円(税込)
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🔵 よくある質問
Q1.病院のリハビリが終わったら、もう自主トレーニングだけで大丈夫ですか?
一律には言えません。順調に生活へ戻る方も多い一方、退院後も歩き方や日常生活動作に不安が残る方もいます。現在の身体機能と生活目標を確認し、必要な支援があるかを整理することが役立つ場合があります。
Q2.病院のリハビリが足りなかったということですか?
そういう意味ではありません。病院でのリハビリは安全な退院に向けた重要な役割を担っています。退院後は、より本人の生活に合わせた目標へ目的が変化していくため、改めて評価することが有効な場合があります。
Q3.退院後、どのタイミングで自費リハビリを検討すればいいですか?
歩き方や生活動作に不安が残る、自主トレーニングが合っているかわからない、仕事や趣味への復帰まで相談したいなど、具体的な困りごとが出てきた段階で検討する方が多いです。
Q4.人工股関節手術後、いつまで自費リハビリを続ければいいですか?
目標や現在の身体機能によって異なります。生活で困っていることが解消され、目標とする活動に戻れれば終了となる場合もあります。
Q5.遠方でも相談できますか?
静岡市駿河区の施設への来店が基本ですが、訪問対応についてはお問い合わせください。
監修者
前田 幸亮 T-performance代表/理学療法士
– 理学療法士
– Spine Dynamics療法 上級認定セラピスト
– JCCA認定アドバンスドトレーナー
– JCCA認定ベーシックインストラクター
– 認定臨床栄養医学指導士
整形外科・回復期リハビリテーション領域での臨床経験を経て、現在は静岡市で退院後・生活期の自費リハビリを中心に支援しています。
※本記事は人工股関節手術後のリハビリについて一般的な情報を提供することを目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。手術方法、人工関節の状態、術後経過によって運動や生活上の注意点は異なります。必ず主治医・担当医療機関からの指示を優先してください。